緑内障2種類の症状
慢性緑内障
初期にはほとんど症状がありませんが、進行すると視野の欠損などの異常が生じます。よく見られるのは、視野の中心、鼻のあたりの欠損です。また、中には急速に視力が低下するケースもあります。
さらに進行すると、視野の中心だけでなく周囲の視野が狭まり、それでも放置すると失明に至ります。
初期症状
初期症状として、眼精疲労、頭痛、肩こりなどの症状が現れることがあります。こういった症状が認められる場合には、できるだけ早くご相談ください。
また、街灯や蛍光灯などの光源のまわりに虹がかかって見えることもあります。
急性緑内障
目の痛み、視力低下、充血、吐き気、頭痛などが急激に発症します。多くは、夕方から夜にかけての時間帯の発症となります。
早期に、適切な治療を受けなければなりません。
緑内障の症状チェック
- 約30センチ離れた位置から、上記の図を見てください。
- 片目ごとに、中心の黒い丸に視線を向けてください。
- その際にいずれかのマス目が欠ける、ぼやける、ゆがむといった場合には、緑内障を含めた目の異常が生じている可能性があります。お早めに当院にご相談ください。
緑内障の原因は遺伝?ストレス?
緑内障は、眼圧の上昇が大きく影響して、視神経が障害されることで発症する病気です(眼圧が高くないのに発症・進行する緑内障もあります)。
そして眼圧は、房水が常に新しい房水と入れ替わることで一定に保たれています。房水の出口が狭くなるなどして眼圧が上昇すると視神経が障害され、緑内障を発症します。
遺伝
血縁者に緑内障患者がいる場合、そうでない場合と比べると緑内障の発症リスクは高くなると言われています。
必ず遺伝し発症する、というものではありませんが、先天性緑内障の一部には、明らかな遺伝性が確認されています。また、ダウン症候群といった染色体異常、マルファン症候群などの結合組織異常、無虹彩症などに伴い続発性緑内障として発症するケースもあります。
ストレス
かねてよりストレスと緑内障の関係が指摘されていますが、直接の因果関係は確認されていません。
しかし、ストレスあるいは不規則な生活リズムなどによって自律神経のバランスが崩れると、視神経・網膜への血流が低下し、緑内障の遠因となることがあると言われています。またストレスに伴い睡眠不足となった場合には、眼圧の上昇を招き、緑内障の発症リスクが高くなるおそれがあります。
緑内障になりやすい人
緑内障は、かつて高齢者の病気と考えられていました。しかし現在では、誰にでも起こり得る病気であることが分かっています。
その中でも特にリスクが高くなるのは、以下のような方々です。症状がなくても、40歳を過ぎたら年に1回は、またそれ以下の年齢の方も2年に1回は、眼科で検査を受けるようにしましょう。
- 40歳以上の方
- 高血圧の方、低血圧の方
- 糖尿病の方
- 睡眠時無呼吸症候群の方
- 強度近視のある方
- 緑内障の近親者がいる方
してはいけないこと=眼圧を上げる行為
緑内障の発症・進行は、眼圧の上昇を密接に関係しています。以下のような眼圧を上昇させる生活習慣、行為はできるだけ控えましょう。
うつぶせ寝
眼球が圧迫されるため、直接的に眼圧が上昇します。
枕が高すぎる
寝ているときに目・脳へと流れる血流が少なくなり、眼圧が上昇する原因になります。
長時間のうつむく姿勢
パソコン、スマートフォン、手元の作業などで長時間うつむいていると、目・脳へと流れる血流が少なくなり、眼圧が上昇する原因になります。
喫煙
喫煙は、目の血管を収縮させます。血流が低下し、眼圧が上昇する原因になります。また、活性酸素によって眼球の組織を傷めるとの指摘もあります。
睡眠時無呼吸・低呼吸
睡眠時に呼吸が止まる、呼吸が浅くなると、目・脳への血流が低下し、眼圧が上昇する原因になります。
治療方法
一度障害された視神経が、元の状態に戻ることはありません。
薬物療法・レーザー治療・手術のいずれの治療も、緑内障の進行を抑制し、失明に至らないようにすることを目的としています。
「完全に治らないのなら」と考えるのではなく、「早期に治療して生涯の視力・QOLを守る」ため、きちんと治療に取り組みましょう。
薬物療法
最初に薬物治療を行うのが基本です。現在、さまざまな薬効の点眼薬が登場しており、緑内障の種類や進行の程度によって、細かく使い分けることが可能です。何度か点眼薬を替えながら、患者様に合ったものを探っていく必要があります。
眼圧を下げる内服薬もありますが、こちらは副作用が強く出ることがあるため、慎重に判断します。
レーザー治療
光彩に孔をあけて房水の流れを改善する方法、線維柱帯に照射し房水の排出を促す方法などがあります。
レーザー治療も基本的に、手術と同様に外来で受けていただけます。
手術
薬物療法やレーザー治療で緑内障の進行を抑えられない場合には、手術を検討します。
当院では、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)や線維柱帯切開術(トラベクロトミー)に加えて、iStent(アイステント)を用いた白内障同時手術、Express(エクスプレス)を用いた低侵襲緑内障手術などにも対応しております。