黄斑円孔とは
眼球の一番奥(眼底)にある網膜の中心部を「黄斑」と呼びます。そして黄斑に穴があくことを「黄斑円孔」と言います。
症状や見え方
黄斑の穴に光が投影されなないといったことで、以下のような症状が現れます。
- 視界が歪んで見える
- 視界の中心が暗くなり見えなくなる(中心暗点)
- 光を眩しく感じる
- 視力低下
黄斑円孔を発症する原因
黄斑円孔は大きく突発性のものと続発性のものに分けられ、それぞれ原因が異なります。
特発性
加齢を原因として発症する黄斑円孔です。
眼球内を満たすゼリー状の物質「硝子体」は、年齢とともに少しずつサラサラとした液体へと変性します。硝子体の容量が少なくなり、網膜から離れることで、黄斑が引っ張られて円孔が生じます。
続発性
強度近視や網膜剥離、目の手術後の合併症として、あるいは外傷を原因として発症する黄斑円孔です。
治療方法
硝子体手術
黄斑円孔の治療の基本は硝子体手術です。
硝子体を切除して、必要に応じて黄斑に張り付いいている硝子体膜を剥がします。その上で特殊なガスを注入して網膜を押し付け、復位させます。
手術時間はおおよそ30分です。
術後の注意点
ガスの浮力によって網膜を眼底へと押し当て続けるため、手術後は約10日、うつ伏せの姿勢で過ごす必要があります。立ち座りをしたり歩いたりすることができますが、その際もうつ伏せの姿勢を保ちます。
再手術のリスクを減らすための大切な期間ですので、ご理解・ご協力ください。
なお、ガスは自然に吸収されます。
手術により起こり得る合併症
- 50歳以上の方が黄斑円孔の手術を受けた際の代表的な合併症として、白内障が挙げられます。白内障を合併した場合には、薬物療法や手術が必要になります。
- そのほか、稀ではありますが、網膜剥離、眼圧の上昇、眼内出血、感染症、視力低下などを合併する可能性もあります。
手術後の視力について
早期のうちに手術ができれば、穴の閉鎖率も高く、視力の回復が期待できます。データとしては、約90%の症例で黄斑円孔が閉鎖され、約60%の症例で視力の改善が認められています。
閉鎖できなかった場合
手術により黄斑円孔を閉鎖できなかった場合、再手術を検討します。また、ガスの注入とうつ伏せ姿勢の維持のみを再度行うということもあります。